映画とライフデザイン

映画ブログを始めて17年、年間180〜200本観ます。時おりグルメ記事や散歩して気に入った場所の記事を書きます。gooの閉鎖で移動してきました。

ポールニューマン  評決


ブログの映画評も30となったのでとっておきの傑作にする。
ポールニューマンの長い映画人生の中でも、ピークと思われる時期に演じられた「評決」である。法廷物としての作品のできも完璧である。

酒びたりの弁護士ポールニューマンは、葬儀場で遺族に事件の処理を任せてくれと営業するような自堕落な姿に落ちぶれている。
そんな彼に4年前の医療事件の訴訟の話が被害者の妹からくる。被害者は、出産時の処置が悪く、植物人間になってしまい子どもも死んでしまう。まともな施設にいくとなると5万$も必要となる。他の麻酔医に「あれは医療事故だよ」と聞いて勝算を得た彼は裁判を引き受ける。相手の病院はカソリック教会系の名門である。名門法律事務所が顧問についている。
訴訟後すぐ和解の話が相手からだされる。21万$という好条件だったが、被害者の現状の姿をみて心を痛めたポールは和解を断る。裁判が始まるにあたり、裁判官を前にして再度和解話がでたが断った。
金銭面に乏しい依頼人の家族は和解話を断ったことに腹を立てる。また、証人として依頼した医師が突然遠方に旅行に出る。審理延期を裁判官に持ち込むが断られる。再度和解に原告側から持ち込もうとするが断られる。

弱気になった彼を慰めたのは、バーで知り合ったなぞの美女シャーロットランブリングであった。
裁判に入っても不利は続く、しかも裁判官とけんかをしてしまい心証も悪くなり八方塞となる。。。

これでもかこれでもかとポール側はやられる。名優ジャックウォーデン演ずる仲間の弁護士となぞの美女シャーロットがポールを支え腕利き相手法律事務所に対抗するが、話は意外な展開を見せる。
名作「ハスラー」でも落ちぶれたビリヤードプレイヤーのポールニューマンを支える美女と怪優ジョージCスコットの二人がでてくる。あの作品当時はポールは若々しい乱暴者的においをプンプンさせていて、演技的にはスコットやポールのライバル役ミネソタファッツに存在感があった。
この作品では「スティング」あたりから増してきた男の円熟味がピークに達して、ダメ男を演じるのだけれども、最高の演技と存在感を見せる。「ハスラー2」でオスカー主演賞をとったが、1作目とくべると盛り上がらない2作目だったので、「評決」をポールのピークと考えるべきであろう。

シドニールメットには「十二人の怒れる男」という法廷物の名作がある。
ただ、これは陪審員の部屋の中だけで展開される話であり、広がりはない。あの映画では、ヘンリーフォンダの弁に動かされて、徐々に一つの方向に進んでいく動きがあったが、今回は最後の最後まで有利にはならない。
そんなストーリーの展開が非常に面白い。

「ロードトゥパーディション」でマフィアの老親分を演じて、最後の存在感を見せたポールニューマン。もう見れないのが残念だが、中年以降のピーク時の作品をみて彼のよさを再認識したい。