映画とライフデザイン

映画ブログを始めて17年、年間180〜200本観ます。時おりグルメ記事や散歩して気に入った場所の記事を書きます。gooの閉鎖で移動してきました。

映画(日本 黒澤明)

映画「暁の脱走」 池部良&山口淑子

映画「暁の脱走」を名画座で見た。 田村泰次郎の小説「春婦伝」を元に黒澤明と谷口千吉が共同で脚本をつくり、谷口千吉がメガホンをとった1950年(昭和25年)の作品だ。まだ占領下で米軍の検閲をうけていたこともあるが、原作とは登場人物の設定がずい…

映画「デルス・ウザーラ」 黒澤明

映画「デルスウザーラ」は黒澤明監督が1975年旧ソ連に招かれ製作したソビエト映画だ。 1902年から数回にわたって地誌調査のために沿海州を探検したウラジミール・アルセーニエフの旅行記を基にしている。 上映された1975年、高校生の自分は有楽…

「續 姿三四郎」  黒澤明

映画「續姿三四郎」は昭和20年終戦直前に公開された黒澤作品だ。 4月29日恒例の全日本柔道選手権の前に見たくなった。 昭和18年公開「姿三四郎」の評判はよく、続編をつくることになった。 とは言え、公開は昭和20年5月というと、東京が空襲でめち…

姿三四郎 黒澤明

黒澤明監督のデビュー作である。姿三四郎といえば誰でも知っているキャラクターである。 講道館の嘉納治五郎師のもとに学ぶ柔道家西郷四郎がモデルといわれる。昭和18年戦中につくられただけあって、出演者の面構えが違う。明治の柔道家の荒々しさがにじみ…

羅生門  黒澤明

「羅生門」はあまりにも有名な黒澤明の出世作である。何度見たかは覚えていない。「天国と地獄」同様見るたびごとに新しい発見がある素晴らしい作品だ。 芥川龍之介に「羅生門」という作品はあるが、ここではそのモチーフを取りいれただけで基本は「藪の中」…

どん底  黒澤明

黒澤明監督がゴーリキーの「どん底」をベースにつくった1957年の時代劇である。 セットが中心で演劇を見ているがごとくの作品だ。江戸の長屋を舞台に、そこに住む個性的な住民と地主との人間関係のもつれを描いていく。セリフは巧妙、でもセット内だけにとど…

悪い奴ほどよく眠る  黒澤明

黒澤明監督の昭和35年公開の現代劇映画である。 最後の壮絶な事故のことが記憶に残っていたが、詳細は忘れていた。ものすごく後味が悪い映画だという印象が強かった。久しぶりに見た。汚職の構造にメスを入れたストーリーで、社会派っぽい作品は水爆を取り上…

白痴 黒澤明

いつもの黒澤組に原節子、久我美子の美人女優を加えた豪華キャストの昭和26年の松竹映画である。主演は三船というよりも森雅之である。ドストエフスキーの原作を舞台を札幌にして描く。もともと4時間を越える作品を2時間46分までカット。それだからかちょっ…

静かなる決闘 黒澤明

昭和24年の黒澤明作品。いつもどおり三船敏郎が主演で、志村喬が脇を固める。「野良犬」と同時期に作られた映画で、手術のときに梅毒スピロヘータをうつされた医師の苦悩を描く。現代でもエイズで似たような話がある。当時花柳病とも言われた梅毒の恐ろし…

野良犬  黒澤明

暑い中、舌を出してハアハアしている犬が映し出される。「野良犬」のイントロだ。黒澤明の現代劇の中でも完成度が非常に高い作品。現代の刑事ドラマの原型になっている素晴らしい作品だ。昭和24年戦後まもない世相の姿が次から次へと映し出されているのも…

醜聞(スキャンダル) 黒澤明

今日はクリスマスイブである。この映画がクリスマス映画というと語弊があるかもしれない。しかし、この映画の重要な場面に戦後間もない昭和24年のクリスマスの世相を描いたシーンがある。黒澤明監督が松竹で作った数少ない作品である。三船敏郎と李香蘭か…

酔いどれ天使  黒澤明

黒澤明と三船敏郎のコンビで初めて作られた作品。戦後の焼け跡の中、たたずむ一人の医者志村喬とヤクザ三船敏郎との心のふれあいを描く。まだ若くエネルギッシュな三船が際立つ。脚本もよく、セリフの一つ一つが心に残り、古さを感じさせない傑作だ。 医者で…

銀嶺の果て  三船敏郎

三船敏郎のデビュー作である。戦後間もない昭和22年、谷口千吉監督による作品で黒澤明が脚本を書く。黒沢映画常連の三船、志村喬の二人の最初の共演で、雪山に逃げ込んだ銀行強盗の逃亡劇を描く。まだ若い三船敏郎が、このあとの作品での活躍を先取りする…

天国と地獄2 腰越にて

気分が乗ったので、「天国と地獄」に関して、言い足りなかったこといくつか取り上げる。元々犯人をあてることよりも、ディテールの小技の連発に価値のある作品だしね。 アルフレッド・ヒッチコックを思わせるシーンがある。 身代金を支払って解放された子供…

天国と地獄  黒澤明

黒澤明監督「天国と地獄」は邦画では私の一番好きな作品である。誘拐犯の刑が軽すぎることを訴える主旨とは別に、63年当時の横浜の風俗をからめながら、演技を見せるというよりも画像、トリックの醍醐味を見せるシーンで満載である。何度見ても面白い。見…

赤ひげ  黒澤明

三船敏郎最後の黒沢作品である。長回しのカットが多く、究極の演技を見出そうとしている。江戸時代の小石川養生所を舞台に、ベテラン医師の赤ひげこと三船に、幕府エリート医志望の若者加山雄三が絡む。演技のすさまじさは黒澤作品屈指である。江戸時代、小…

生きものの記録  黒澤明

昭和30年の黒沢明監督作品。原子爆弾から水素爆弾にパワーアップし、実験が繰り返された世相を反映して、水爆被爆の恐怖症の老人を描く。三船をはじめ、志村喬、千秋実、藤原釜足といった黒澤組が中心で、昭和30年前後の前近代的家内工業の雰囲気もよく表わ…

蜘蛛巣城  黒澤明

シェークスピア「マクベス」を題材にした黒澤明監督の時代劇。主君に忠実に仕える領主三船敏郎があるきっかけで主君を殺害し、自ら主君に成り代わろうとする話。能を取り入れたり日本の伝統芸能の匂いを戦国の争いの中にちりばめる傑作。三船敏郎、山田五十…

素晴らしき日曜日  中北千枝子

中北千枝子といってわからなくても「ニッセイのおばちゃん」の自転車に乗ったCMのおばさんといえばなんとなくわかる人も多いかもしれない。おばさんの顔は誰でもブラウン管で見たものだ。 成瀬巳喜男作品では彼が死ぬまでずっと付き合い続けた。「稲妻」「…

わが青春に悔なし  原節子

黒澤明の初期の作品、終戦翌年21年公開である。 原節子が男子学生と写っているポスター写真を見て、さわやかな青春ものを想像していた。そのためか見る機会がなかった。最近原節子さんの上品さに惹かれることが多く、この作品も見てみたくなった。 想像を…