映画とライフデザイン

映画ブログを始めて17年、年間180〜200本観ます。時おりグルメ記事や散歩して気に入った場所の記事を書きます。gooの閉鎖で移動してきました。

映画「黒蜥蜴」 京マチ子

映画「黒蜥蜴」は1962年(昭和37年)の大映映画。名画座で見てきました。


黒蜥蜴は、江戸川乱歩明智小五郎探偵と女盗賊黒蜥蜴の対決を描いた昭和初期の作品である。その原作を三島由紀夫が戯曲化したが、三島の盟友丸山明宏(美輪明宏の十八番としても有名である。丸山と三島が共演した作品がDVDで見れないのはきわめて残念で、名画座で上映するのを根気強く待つしかない。

今回は京マチ子が黒蜥蜴を演じる。これはこれでいいねえ。どうしても現代の映画と比較すると、稚拙な部分が目立つが、彼女の個性の強さでいい感じに仕上がる。

宝石商岩瀬のもとに女賊黒蜥蜴から令嬢早苗(叶順子)を誘拐するぞと、脅迫状が送られてきていた。黒蜥蜴は宝石に異常なまで心をひかれている。宝石商は名探偵明智小五郎大木実)を高額の護衛費で雇っており、岩瀬は娘早苗と緑川夫人(京マチ子)と大阪のホテルで過ごしていた。
ところが、早苗を見張っていたにも拘わらず、とっさの隙を狙って黒蜥蜴は手下の雨宮(川口浩)を使い、まんまと誘拐してしまった。だが、明智は逃走経路の要所、要所に部下をおいていたので、早苗は取り返された。明智はその場所に居合わせた緑川夫人を黒蜥蜴だと見破った。身分がばれると黒蜥蜴はすぐさま姿を消した。


東京へ帰った岩瀬は、早苗を豪邸の自室に閉じこめ、剛腕の用心棒3人を雇って厳重に警戒した。しかし、その警戒の中で黒蜥蜴は早苗をまたもや誘拐した。そして、身代金に高額のダイヤ「アラビヤの星」を要求した。岩瀬はためらったが、明智のアドバイスで指定の場所東京タワーにダイヤモンドを持っていった。

ここからは明智と黒蜥蜴のだましあいが続く。明智は変装して東京タワーの展望台に身をひそめており、黒蜥蜴はダイヤを受取るや、素速い変装で車で立ち去った。この結末はどうなるのか??


最後に向けてのそれぞれの騙しあいはそれなりに面白いが、アクション、ミステリーだけをとってみるとつい現代の映画と比較する。どうしても稚拙な感じがしてしまう。小学生になるころ、再放送でやっていた七色仮面」や「ナショナルキッドにときめいていたが、当時好きだったその劇映画を今になって見ているときに感じる気分とさほど変わらない。変装してマスクをはずす場面にその匂いをつい感じてしまうのだ。

ここで期待するのは京マチ子のパフォーマンスだ。
男装の麗人という雰囲気の動きでいいなと感じた後、強いメイクと黒いドレスであらわれた時のエキゾティックな魅力は現代にも通じる魅力である。鞭を打っている姿はまさにSMクラブの女王である。まあそれだけを見るだけでもよかろう。