映画「サブスタンス」を映画館で観てきました。
映画「サブスタンス」は、ゴールデングローブ賞で主演女優賞を受賞したデミ・ムーア主演の新作である。残念ながらアカデミー賞の主演女優賞は取れなかったが, 90年代に大活躍をしたデミムーアが復活の狼煙を上げた作品ということで気になっていた映画である。フランスの女性監督、コラリーファルジャの長編2作目である。各種作品賞にノミネートされている作品でもあり、それなりのレベルと考え事前情報は極力入れず観に行く。説明しづらい内容なので、作品情報を引用する。
元トップ人気女優エリザベス(デミムーア)は、50歳を超え、容姿の衰えと、それによる仕事の減少から、ある新しい再生医療<サブスタンス>に手を出した。
接種するや、エリザベスの背を破り脱皮するかの如く現れたのは若く美しい、“エリザベス”の上位互換“スー”(マーガレット・クアリー)。抜群のルックスと、エリザベスの経験を持つ新たなスターの登場に色めき立つテレビ業界。スーは一足飛びに、スターダムへと駆け上がる。
一つの精神をシェアする存在であるエリザベスとスーは、それぞれの生命とコンディションを維持するために、一週毎に入れ替わらなければならないのだが、スーがタイムシェアリングのルールを破りはじめ―。(作品情報 引用)
ホラー映画を超越してスプラッターになってしまったのには驚くしかない。
1996年「素顔のままで」でストリッパー役を演じて、ヌードになった。全裸を披露したデミ・ムーアを見て、美しい裸体だと感じてからもう30年近く経つ。62歳になった。この映画でもヌードを披露しているが,まだまだ現役継続といった感じである。映画の最初でエアロビクスダンスを踊っている場面があるが、躍動感のあるダンスはとても60を超えているとは思えない。
とは言っても,ここでは50歳を超えて、プロデューサーにもうそろそろ限界だよと言われている設定だ。徐々に出番が少なくなっていく。自分で自分が嫌になり,危うい再生医療に手を出してしまうのだ。
映画の途中までセンスのある映像だなと思っていた。それぞれの俳優のアップの使い方がうまく大画面で見ると美しくはえる映像である。セリフは決して多くはない。簡潔で内容がよくつかみやすい。デミ・ムーアはもとよりマーガレット・クアリーの抜群のプロポーションには圧倒される。いかにもアメリカ映画らしいゴージャスな映像だと思っていた。
ところが,エリザベスの分身であるスーが売れっ子になり,本来1週間ごとに変わらなければならないルールを破り始めてから、もともとのエリザベスの体が極度に老化していくのである。この辺からまさにホラーの色彩になっていく。
エリザベスの特殊メイクは徐々にエスカレートしていき、とんでもない半漁人のようになっていく。これは気持ち悪い。しかも最後に向かっては完全なスプラッター系である。ここまで血が飛びかうとは想像もしていなかった。自分の映像経験で言うと、ジョンカーペンター監督の「遊星からの物体X」に通じるものがある。ともかくまいった。